ビジネスモデルキャンバスの
概要と実践
「ビジネスモデルキャンバス」(Business Model Canvas)は、新規事業の立ち上げや既存ビジネスの改善に役立つ強力なフレームワークです。本記事では、ビジネスモデルキャンバスの構成要素、作成方法、さらに具体的な事例を通じて、ビジネスモデルキャンバスの効果的な使い方を解説します。
ビジネスモデルキャンバスとは?
マイクロソフト、富士通、マスターカードなど
日本・世界中で様々な企業がビジネスモデルキャンバスを導入・活用!
ビジネスモデルキャンバスは、経営思想界のアカデミー賞「Thinkers50」で
「Strategy Award」(戦略最優秀賞)を受賞
世界が認めたビジネスフレームワーク
ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)は、アレックス・オスターワルダー博士が開発したビジネスの全体像を視覚的にまとめるためのツールです。ビジネスモデルキャンバスは、9つの構成要素で構成されており、それぞれの要素がどのように連携し、価値を生み出すのかを明確に示します。
日本でも、『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』(翔泳社)が2012年に発売され、ベストセラーとなっています。さらに、「BMIA」という一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会もあります。
ビジネスモデルキャンバスのポイント
1. ビジネスモデルの
仕組みがわかる
仕組みがわかる
なぜあの会社が儲かっているか、なぜあのライバル会社が勝ち組みなのか、複雑なビジネスモデルの仕組みが理解できます。
2. ビジネスの理解が
つながる・深まる
つながる・深まる
マーケティング、サプライチェーン、リソース、ファイナンスなど、バラバラだったビジネス知識がビジネスモデルでつながり、深まります。
3. ストーリーでわかる
ビジネスモデル
ビジネスモデル
ビジネスモデルは、顧客や販売チャネルなどが互いに関連・影響し、大きく変化します。ビジネスモデルキャンバスで、ビジネスをストーリーとして理解でき、ビジネスのチャンスや弱点が見えます。
ビジネスモデルキャンバスの
9つの構成要素
9つの構成要素
「ビジネスモデルキャンバス」は、顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客との関係、
収益の流れ、主要資源、主要活動、主要パートナー、コスト構造の9つで構成されています。
ここでは、「ビジネスモデルキャンバス」の9つの構成要素を説明します。
顧客セグメント
「ビジネスモデルキャンバス」の「顧客セグメント(Customer Segments)」では、どの顧客層に価値を提供するのかを定義します。顧客は誰か(Who?)を決めます。ターゲットとなる顧客グループや市場セグメントを特定します。顧客は、おおきくB2C(消費者)とB2B(法人)にわかれます。顧客のターゲットを決め、さらに具体的にアプローチし、ペルソナを明確にします。
社会人
学生
大企業
中小企業
価値提案
「ビジネスモデルキャンバス」の「価値提案(Value Propositions: バリュープロポジション)」とは、サービスや製品の簡単な説明と、顧客自身が得られる価値です。言い換えれば、顧客が購入すべき理由をビジネスモデルキャンバスに書いてください。購入する理由になるためには、顧客が抱える問題を解決するか、付加価値をもたらしているかを意識しましょう。バリュープロポジションを記載するときは、自分と顧客がその価値提案を聞き、すぐに何を提供してもらえるかを理解できる文にします。あいまいな説明や専門用語はやめましょう。
この「価値提案(バリュープロポジション)」は、「ビジネスモデルキャンバス」の中でも特に重要な要素の1つです。「バリュープロポジション」を深堀りするためのフレームワークとして、「バリュープロポジションキャンバス」があります。この「バリュープロポジションキャンバス」の詳細は、改めて解説します。
関連フレーワーク
バリュープロポジションキャンバス
バリュープロポジションキャンバスは、自社の製品やサービスが顧客のニーズや状況にどのように応えるかを可視化するためのフレームワークです。
このツールは、顧客のニーズと自社の提供価値の間のギャップを明確にし、それを埋めるための戦略を立てるために有益です。
チャネル
「ビジネスモデルキャンバス」の「チャネル(Channels)」では、顧客にアプローチし、顧客を獲得、商品を販売・提供し、アフターサービスを提供する経路を書きます。例えば、Web/SNS広告、法人営業、店頭販売、インターネット販売、訪問販売などです。
顧客との関係
「ビジネスモデルキャンバス」の「顧客との関係(Customer Relationships)」では、顧客との関係の深さ、長さを記載します。カスタマーサポート、個別対応、コミュニティ作りなどの戦略を含みます。顧客との関係は、顧客満足度を高め、顧客ロイヤリティを向上させるために重要です。
例えば、顧客サポート、コミュニティ、ロイヤルティプログラム、パーソナライズされたコミュニケーションなどがあります。
収益の流れ
「ビジネスモデルキャンバス」の「収益の流れ(Revenue Streams)」では、顧客に提供するサービスで、収益を得る方法(売上)を明確にします。一度限りなのか、継続的な収益(売上)なのか、他社と比較して、高いか低いかなども記載します。
例えば、顧客サポート、コミュニティ、ロイヤルティプログラム、パーソナライズされたコミュニケーションなどがあります。
主要資源
「ビジネスモデルキャンバス」の「主要資源(Key Resources)」では、価値提案を提供するために必要なリソースを記載します。人材、技術、財務資源、知的財産などを含みます。例えば、大規模工場、物流システム、おしゃれな店舗、特許、優秀な技術者、高い倫理観をもった企業文化、大量の内部留保などです。
主要活動
「ビジネスモデルキャンバス」の「主要活動(Key Activities)」では、価値提案を提供するために行っている主要な活動を記載します。生産、マーケティング、販売、サービス提供などが含まれます。
例えば、大量・低コスト生産、使い勝手に注力した製品開発、本質的な問題を掘り出すコンサルティング、丁寧なアフターサービスなどです。
パートナー
「ビジネスモデルキャンバス」の「パートナー(Key Partnerships)」では、自社だけではまかなえない主要活動やリソースを提供してくれるパートナーを記載します。戦略的提携、供給チェーン、提携企業などが含まれます。
例えば、販売代理店、物流会社、制作会社、マーケティング会社、物流会社、OEM提供会社などです。
コスト構造
「ビジネスモデルキャンバス」の「コスト構造(Cost Structure)」では、主要活動、リソースにかかる費用、パートナーへの支払いなどが入ります。コストは、販売量に応じて変化する変動費と、変化しない固定費に区分されます。
例えば、人件費、広告費、地代家賃、製造原価、物流費などです。
ビジネスモデルキャンバスの
作成方法とポイント
作成方法とポイント
実際に、「ビジネスモデルキャンバス」を活用して、ビジネスモデルを作成したり、今日分析したりする方法をお伝えします。
準備
付箋(ふせん)
付箋(ふせん)は、ビジネスモデルキャンバスに、文字やイラストを記載します。
細長いサイズの付箋と、正方形のサイズの付箋を用意することがおすすめです。
ペン
付箋(ふせん)は、文字やイラストを記載するために使用します。
黒と赤の油性ペンで、細字と太字がかけるペンがおすすめです。
スマートフォン
ビジネスモデルキャンバスに記載した内容を撮影するために使用します。
ビジネスモデルキャンバスを作成している内容を録音・録画することもおすすめです。
ビジネスモデルキャンバスを
作成する
ビジネスモデルキャンバスの9つの項目を記載する
ビジネスモデルキャンバスは、9つにわかれています。どこから記載することもできますが、初心者の方におすすめの方法は、次のとおりです。
顧客➜価値提案➜チャネル➜顧客との関係➜収益の流れを記載します。
次に、主要活動➜主要資源➜主要パートナー➜コスト構造を記載します。
ビジネスモデルキャンバス作成の
4つのコツ
1. ビジネスモデルキャンバスに直接記載しない
紙やホワイトボード上のビジネスモデルキャンバスに、直接に文字やイラストを記載せずに、付箋に記載してください。
2. 1枚の付箋に
1つのアイデア
1枚の付箋(ふせん)に、1つのアイデアを記載します。
こうすることで、アイデアを簡単に追加、移動、削除したり、直ぐに順序を変更できます。
3. 図・イラスト・写真を
活用する
図・イラスト・写真を活用して、アイデアを豊かにしましょう。
視覚的な要素が付いていると、私たちはより速く情報を処理できます。また、チームメイトにあなたの意図をより良く伝えることができるます。
4. 各項目は
3-5つの内容を記載
ビジネスモデルキャンバスは、戦略的な概要を作成するために非常に協力なツールです。
ビジネスモデルキャンバスの9つ項目に記載する項目を特に重要な3-5つの内容を記載しましょう。
ビジネスモデルキャンバス 実例
この項目では、「ビジネスモデルキャンバス」で、ビジネスモデルを分析します。これらの実例をみると、「ビジネスモデルビジネスモデル」の理解が深まるとともに、実際にビジネスモデル理解できます。
コンビニエンスストア(コンビニ)の
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバス
コンビニ(コンビニエンスストア)のビジネスモデルの特徴は、高度な情報システムと効率的な物流ネットワークを活用し、顧客ニーズに合わせた商品開発と品揃えを実現していることです。
価値提供として、24時間、365日営業の利便性に加え、独自商品やコラボレーション商品の提供を行い新たな価値を提供しています。
技術面では、セルフレジの導入や電子決済サービスの普及など、デジタル化を推進し、顧客の利便性向上と業務効率化を図っています。
Appleの
ビジネスモデルキャンバス
Appleのビジネスモデルの特徴は、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを統合したエコシステムを構築し、顧客に高付加価値を提供していることです。
価値提案として、「優れたデザインと使いやすさ」、「シームレスな製品・サービス統合」、「高品質で革新的な製品」、「プライバシーとセキュリティの重視」を提供しています。これらの価値を提供し、ブランド価値を高めることで、プレミアム価格戦略を可能にしています。
収益の流れとして、iPhoneやMacなどのハードウェア製品販売に加えて、App StoreやiTunesなどのプラットフォームビジネス(サービス収入)を展開することで、継続的な収益源を確保しています。
Open AIの
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバス
OpenAIのビジネスモデルは、最先端のAI技術を開発し、それを幅広い顧客層に提供することで価値を創出しています。
Open AIは、競合他社との激しい競争が繰り広げられている中、今後、どのようなビジネスモデルを展開するか注目の企業の一つです。